治療方針・指導方針

100歳まで自分の歯を残せるように
3つの方法を指導します

虫歯・歯周病・顎関節症は生活習慣病で、予防には、生活習慣の是正が必要です。特に、100歳まで自分の歯を残すことまで求める場合は、絶対に守らなければいけない生活習慣の是正があります。ペリオクリーニング会員の数十年に亘る長期観察から、ここに紹介する3つの方法で歯科に直結した生活習慣是正指導ができ、リアルタイムで効果が表れます。

無意識の生活習慣TCHを減らす

私たちは、本来咀嚼(食べる)・嚥下(唾を呑みこむ)・会話(話す)時以外は、上下の歯をつけないのが正常な状態です。これを下顎安静位と言います。しかも、咀嚼・嚥下・会話によって触れた瞬間の1日の合計時間も、たったの20分以内と考えられていることから、上下の歯をつけることは稀なことです。しかし、現代を生きる私たちは、社会的要因(ストレスなど)により、無意識に長時間上下の歯をつける、場合によっては強く噛みしめている習慣となっています。顎関節症治療の権威、木野孔司元東京医科歯科大学准教授と私たちの研究から、この癖(TCH)が顎関節症の原因となるばかりでなく、虫歯・歯周病の原因にも関与している事が解明されました。TCHが歯や体に悪影響を及ぼしているTCHリスクの高い人は是正が必要ですが、100歳まで自分の歯を残そうとする場合にも、TCH是正が必要となります。

TCH(Tooth Contacting Habit)とは、無意識のうちに上下に歯をつける癖で、専門的には上下歯列接触癖と呼ばれます。

砂糖を極力とらない

虫歯と歯周病の原因となる砂糖とはショ糖のことで、果糖・ブドウ糖・麦芽糖などは含まれません。口の中に入った砂糖をミュータンス菌が食べて粘着性のグルカン(デキストラン)を作り、歯に付着するプラーク(歯垢)をつくります。プラークの中では、乳酸菌群が糖を利用して乳酸を作り、プラークに接触する歯の表面を溶かしてゆきます(虫歯の発生)。また、起炎菌が歯肉に炎症を起こします(歯肉炎・歯周病の発生)。したがって、砂糖(ショ糖)摂取制限がとても大切です。

1日1回は正しい歯磨きをする

私たちは、ショ糖と無縁な食生活はできませんから、歯磨きによって1日1回の確実なプラーク除去方法を指導します。具体的には、プラーク付着部位を知っていただき、適切な歯磨き指導を行います。合わせて、歯周ポケットの深い部位を浅くする処置も行います。

本の紹介

「100歳まで自分の歯を残す」具体的な方法を知っていただきます。初版は、2013年3月に発売され6回重版となり、台湾版・韓国版も発売されました。初版発売の目的は、顎関節症治療から誕生したTCHという概念を知っていただくことでした。改訂新版では、TCHが顎関節症治療だけでなく、100歳まで自分の歯を残すことに必要なことを知っていただき、日常生活に取り入れていただくことが主な目的です。付録として、洗面所に貼ってハブラシの当て方を学ぶポスターとTCH是正シールが付いています。ヨシタケシンスケ氏のイラストが満載されていますから、楽しみながら学べます。Kindle版もあります。

講談社 定価:本体1400円(税別)

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医療相談

自分ではまだ使用出来ると考えていた歯を、「抜きましょう」と歯科医から突然宣告された時、その場での抜歯は回避しましょう。たとえ、麻酔され抜歯直前でも、「少し考えさせて下さい」と告げて抜歯を回避してください。抜歯されてしまうと、100歳まで自分の歯を残すことは夢となってしまいます。通常、必要な抜歯であっても、先送りすることでガンのような手遅れになりません。
なんとか抜歯されずに残す方法はないかと考え、「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」(講談社刊)に出会った皆さんから当院の「医療相談」(約50分で費用は3万円)を利用していただけます。治療イスに座った相談ではなく、デスクで著者と対面の相談ですから、気軽に質問ができます。「医療相談」については事前に予約の電話(電話番号:03-3374-7070/平日の9時から15時)をお願いします。