院内感染対策

感染対策30年

新型コロナウィルス発生以前より患者さんの健康を大切にするため「サイトウ・メソッド」として
院内の感染対策と徹底してまいりました。

院内感染対策「サイトウメソッド」誕生へ

しかし、エイズが世界的な問題(1989年ころ)を契機に、一部の歯科医は、エイズは感染者の体液で感染することから、常に血液・唾液に触れる歯科医療に院内感染対策を導入する必要性を感じるようになりました。それまでは、歯科医は抜歯時に顔や白衣が血だらけになっても感染症に罹患するとは考えていませんでした。そうした気付きを起こした私も、感染症の勉強を始めると、エイズ以外にウイルス性肝炎・白血病などという不治の病も体液で感染することに気付き、神の啓示を受けたがごとく実効性のある院内感染対策導入を決意しました。多くの専門書を読み、実験・研究をして、ここまですれば安全を確保できると信じられる独自の院内感染対策「サイトウメソッド」を完成させました。いまならば当たり前に思える「診療室を汚染区域と非汚染区域(日常空間)とに分け、汚染区域にある全ての汚染物を無害化して非汚染区域に出す」概念の構築、今でも世界一といえる「高圧蒸気滅菌器」を製品化したことなどが誇れることです。導入から30年、感染事故は疑わしい事例も含めて1件も発生しませんでした。こうした安全対策に価値を見いだせる患者さんは、是非とも当院に来院してください。

Point
01

診療室を、汚染区域と非汚染区域とに分ける

患者さん用のエプロン・紙コップなどを使い捨てにしても、何か汚い(安全ではない)という気持ちが払拭されませんでした。治療している手で、そのままチューブに入った歯科材料などに触ることが原因(触った歯科材料を介して患者さんの体液が診療室全体に拡がる)と気付き、汚染区域と非汚染区域にゾーン分けして、触らないシステムにしました。患者さんには見えないこのシステムが、患者さんの安全を保障しています。

Point
02

汚染区域にある汚染物の処理

患者さんの血液・唾液の付着した汚染物を安全に処理しなければいけません。一度でも汚染区域に置いたものは汚染されているため、そのまま非汚染区域に出すことはできません。もったいないことですが、滅菌処理すると再使用不可能となる歯科材料・筆・プラスチック製品などはすべて滅菌処理して廃棄します。

Point
03

確実に無害化する滅菌器の考案

炊飯器が米を炊くことが出来なければ欠陥商品と気付きますが、滅菌器が必要な滅菌を出来ていなくても気付くことはありません。このことに気付いた私は、自分の納得する滅菌器をメーカーに製作してもらい、市販されました。「完全滅菌」という言葉を使用すべきではありません。狂牛病の異常プリオンなどは焼却以外に方法はないと考えられています。現在の医療分野では、135℃以上の高圧蒸気滅菌で大丈夫としていますが、当院では、より安全性を高めるために、135℃で60分の長時間を掛けた滅菌処理をしています。滅菌作業開始から終了まで約2時間掛かります。30年前に発案した高圧蒸気滅菌器を使用して、他の歯科医院の追随を許さないレベルの滅菌処理を行っている理由は「患者・スタッフ・私」の健康を確実に守るためです。

Point
04

多能工化するスタッフ

感染対策はスタッフによって運用されるため、スタッフの能力がとても大切です。例えば、汚染区域を担当しているスタッフが、非汚染区域内の歯科材料に触ってしまうと、ゾーン分けは意味がなくなり、診療室全体が汚染区域になる可能性があります。しかも、スタッフが触った証拠が見えないので怖いことです。こうした問題点を追及すると、熟練した少人数のスタッフでの医療展開が一番安全な院内感染対策となります。

サイトウ・メソッドについてメディアへの論文

「日本歯界評論」
2015年9月号

「歯界展望」(医歯薬出版)
2010年6月号